「一目置く」の語源を説明します
皆さん、知っているようで知らない事ってありませんか?
例えば「一目置く」という言葉があります。相手の事を認めたときに使われる言葉ですね。
この時の一目というのは碁石の事で、先手である黒番を持っていると言う事なんです。
実は囲碁の場合、先手番になる黒は白に比べ、圧倒的に有利なんです。だからこそ「一目置く」というのは先手番を奪われ、ビハインドを背負って戦わなければいけないという意味で「一目置く」と言われるようになったんです。
本因坊秀策が師匠に「囲碁の結果はどうだった?」と聞かれたら「黒でした」と言っているのも、黒を持てたから勝てたという逸話が残っています。
ただ、今はこの言葉は誤解を招く言い方になっています。
さかのぼること平安時代から囲碁で黒が有利と言う事は知られていました。
その為大正時代になると「コミ」という黒番のアドバンテージを是正するため、白側は当時四目半のハンデをもらって勝負すると言う事になりました。
現在は六目半になっています。だからこそ「一目置く」事をしてしまうと白側にハンデをやらなければならなくなるので絶対的な黒有利の時代と違い、この言葉に語弊を覚える結果になりかねない事からもこの言葉は死語にした方がいいと私は思っています。
あと、「手抜き」という言葉も囲碁からきている言葉です。普通に言ったら手抜きっていう言葉は「サボってる」とか「いい加減にやっている」という意味にとらわれがちですが、実はこれも囲碁の世界からきているのです。
囲碁の世界で言う「手抜き」とは対局相手が打ってきた手に対し、受ける事で打たれた手を何とか抑えようとすることをせず、違う場所に打つ事を「手抜き」と言います。
だから、本来有効打を打つ事を言うのですが、やるべきことをやらないとかいうのは、あくまで日常であって、囲碁の世界では勝つために能率的だと思う手を打つ事なんです。
色々話してきましたが、語源を見つけるって面白いですよ。皆さんも機会があったら見てみてください。